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アモロ観光局:海都ルート→裏ボス撃破後の物語。

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昼過ぎに起きたアモロが宿の少年から最初に聞かされたのは、アモロ観光局がアーモロードに潜む魔を遂に退治したという話だった。 「どうしてオレも連れて行ってくれなかったんだよー!」 「そりゃあ、あんたが爆睡してたからよ」 「でも、その様子だと病気という訳でもなさそうですね」 不機嫌そうにバーテープの上でエールジョッキを転がすアモロ、その手からエールジョッキを取って酒場の女店主に渡す占星術師の男、そして赤髪を三つ編みにした少女が彼の隣に座った。 「名誉の負傷だろ、それ。いいな~オレも今から樹海行こうかな」 「何バカなこと言ってるの…」 呆れ顔のテオドラの腕や顔には絆創膏や包帯が巻かれており、酒場に集った他のメンバーも大なり小なり怪余をしている。アモロ観光局の中で今無傷なのはアモロだけだ。 「えっえー!?こっちは死ぬかと思ったのに…お気楽だよねぇアモロは」 「アモロ様らしい勇ましい言葉ですよね」 銀髪のシノビの少女をなだめるように赤ずきんの少女が笑みを浮かべる。 あの丸太を百本まとめたような魔の触手を回避し続けたシノビの少女からしてみれば、ノーテンキにエールを飲み続けるアモロに文句の一つや二つ言いたくなるのは仕方ないだろう。 「ふぁぁ…」 「おや、まだ寝足りないようですね」 「おかしいな…こんなに眠いなんて」 瞼をこすりながらアモロは立ち上がる。なんというか、今日はずっと眠い。 眠すぎて海獣丼も五杯しか食べられなかったし酒の眠さとは違う、歳なんじゃないのかと騒ぐシノビの少女に言い返すのも今日はおっくうだ。 「悪ぃ、オレ先に帰るわ、パーティー楽しめよ!」 「おかえりですか、なら私が宿まで送りますわ」 「良いって良いって!トコも主役なんだから、主役がいないなんてパーティーじゃないだろ~」 足取りのおぼつかない姿を心配そうに見つめるトコへ、アモロはサムズアップと歯を見せた笑顔を見せつけると宿に向かって自信満々な足取りで歩き出す。 そして数歩歩いたところで逆方向に歩いていたことを思い出して、酒場の方へと戻ってきた。 迷子になりかけながら歩くこと数十分。アモロがアーマンの宿の扉に手を伸ばした瞬間、突然扉が開いた。 驚いて上を見上げるとそこには見知った無表情がアモロを見下ろしていた。 「八十じゃん!パーティー行かなかったのか?」 「いえ、商店で作らせた武器を取りに行っていたんです」 ほらと言って八十が見せた刀は長身の彼女と同じくらい長い刀だった。 それにその刀はアモロの素人目でも名品だというのが分かる気迫だ、たぶんデュランダルに次ぐ一品だろう。こんな物が出来るのは… 「もしかして、魔の素材から作ったのか!?スゲー!」 「はい。私もどうしてこうなるのかは分かりませんが、何でも切れそうですよねコレ」 「ぎゃー!スライスされるー!!」 「今は斬りませんよ。では」 「いってらー」 八十は強いがふざけに関しては自分が一番だ、アモロは全力の変顔をして八十を送り出したが彼女が振り返る事は無かった。 やがて満足いくまで変顔を続けたアモロも宿帳にミミズのような眠い字を書いて、ベッドへ飛び込んだ。

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更新履歴

・2024/12/03:CSSを更新 ・2024/01/05:第1版